2016年10月25日火曜日

映画 聲の形、感想他

一応備忘として。ネタバレありません。多分10月末の金曜以降公開館が一気に減ると思うので見ようとするなら10月中に予定作る事をお勧めします。


以下感想


・原作もそうだけど、数十年単位で残って欲しい傑作です。


 少年少女のディスコミュニケーションについて


・いや、凄いけど、凄いんだけど、これ他の人に勧められるもんじゃないよね、と思っていたら若年層を中心に大ヒットしてしまったという。(1館あたりの売上で見ると、大規模公開で興行収入50億レベル→(ワンピース、妖怪ウォッチ)の作品と比べても遜色ない)

・顧みれば、若い人たちの最も大きな関心ごとの一つが「人間関係、ディスコミュニケーション」なので、この辺をクリティカルに抉って来るこの作品は相当響くのだろう。一生ものの作品になってしまう子も多いのでは。

・全ての人間に好ましい部分と嫌な部分がある。善悪二元論でバッサリ切り捨てずに、全てにおいてグレーな他人に対してどう付き合って行くか、そしてその中で友達というのは何だ?と真正面から問うて行くという、まぁ何とも神経質なお話。イジメていた奴が全員因果応報で酷い目に遭いハッピーエンドという方向はない。むしろ主人公に関しては完璧に因果応報食らった後から物語はスタートする。

・現実だと、この物語で書かれる贖罪なり和解等というのはそうそう起こらないし、苛めてた人間が相手に向き合う殊勝な事なんかする訳なく、凄く雑に関係が続いたり終わったりするよね。そういう意味でこの作品、ハッピーエンドなんだと思うし、そういうけじめをつけられず、虐められていたままの人間には絶対許せん結末だろうなという。


 コントロール手段としての劇伴


・徹底的に石田の主観で描かれる物語なのよなと。ヒロインを苛めてる時のBGMがここまで軽快なの、ちょっと正気を疑うという感想もあったけど、あの時の石田の心の中にやましい気持ちなんて全くなくて、ただイジメる事が楽しいんだよねと。現実でも加害者側はそうだと思う。

・硝子をイジメている時の石田主観で流れるBGMが愉快だから、それに引きずられる人はそのシーンで笑ってしまうんじゃないか?そこまで引きずり込まれてる人は勿論、後の展開で地獄に落とされるが。

・BGMについてはこの記事が凄いので読んでみるといいかもしれない。(http://www.excite.co.jp/News/bit/E1475237612490.html)

・いわゆるagraph萌え

・サントラも完璧なので皆さん買いましょう。


 京アニの原作付きアニメという観点から


・ある程度年食って色々な物が擦り切れた我々から見ると、ともすれば映画(っつうかアニメ)の目指す方向性が「原作のトレース」と勘違いしてしまう所もある。その観点から見ると不足分が大きい凡作という評価になると思う。

・実際は京アニは原作のトレースなんかハナっから目指してなくて、原作と映画でもう何か根本のキャラクターに対するスタンスが違う。全員大嫌いと言う原作者に全員いとおしいという映画制作。同じ作品である訳がない。んでそこがダメだとこの作品だけじゃなく、京アニ全部ダメでは?と。特に原作に思い入れある人間ほど厳しい評価を下すと思う。

・むしろ山田監督、次回何作るの?


 障害を扱う事、そして感動ポルノについて



・聴覚障害を扱う作品で、とんでもなく音にこだわった結果、聴覚障害者に取って味わうのがキツい作品になっているというパラドックスがある。

・字幕付きで上映するのが当たり前という意見も多かったけど、字幕を入れたら入れたで今度は発達障害者に優しくない仕様になったりするので、入れれば万事解決という物でもない。最終的には字幕表示機(→https://www.youtube.com/watch?v=hPqJYQiJsb8)などで各個対応するのが良いのでは?

・西宮硝子という人は、学校という危うい共同体の和を破壊するクラッシャーとして出て来た訳で、彼女が発達障害設定でも成立するんだと思う。ただ、恐らく読者の被害者側への同情が弱くなるし、救いようのない創作になる。俺は絶対見たくない。

・つまりは、イジメに対する読者の逃げ場を無くす為の聴覚障害者設定なのかなと。

・石田を発達障害者と言う向きもあったけれども、個人的には違うでしょう、と。ただ、幼少期の彼や石田の姉を見る限り結構リスク選好強めの家族だと思う。母親もかなりメンヘラっぽい。

・感動ポルノというのが、嫌いな心象の作品をけなす為のとんでもなく便利な言葉になってしまったなーという所。創作において、感動というのは明らかにポジティブなフィードバックの一つなので、その後にポルノってつければ、いとも簡単に感想を書いた相手の感情を否定できるんだからまぁ本当便利です。フードポルノという言葉もありますし、好きに使って頂ければ。


 導者としての高齢者


・結絃とONE WANさんの掘り下げが結構甘かったよな。これはもう少しやってほしかった。ただ、結絃が初めて制服を着るシーンはこの作品一番の名場面なんで良い。



次のエントリではネタバレ感想書きます。

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